2nd mini album

「diode」

2023/5/27 release

『diode』
PSCM001 ¥2,500(税込)

SONGS & LYRICS

1.アンセム
愛の本懐は、癖の強い文字で
書き足せるようなものでは
ないと分かっていたつもり。

それでも正体が未だ掴めなくて、
マクガフィンを失くしてしまったんだろう。
だから、どのツラ下げて
向き合えばいいのか分からない。

この旅の終わりに歌いたいアンセムを
見つける度に、何処へだって行けそうだと
分かった。

時にはユーモアを、日々にアイデアを。
ラブソングも歌っても構わないだろう。

安酒の泡を数えよう。
同じ分生き永らえてしまおうか?

この旅の為に、
相応しいタンデムに君が座ったら。
どこへだって連れ出してしまいそうだと
笑っていて。
2.22
止めないで!この世界のSOS
みたいに聞こえるQED

案外チープな結末に
終わるような映画を眺めてた
刹那に流れるCMがやたらと、ウザい

先月分の事由
繰り越しの理由
悪気がないだけ厄介だ

止めないで!この世界のSOS
みたいに聞こえるQED
世界に見放された7畳で
土壇場を待っていたのさ

止めないで!この世界のSOS
みたいに聞こえるQED
世界に見放された7畳で
手遅れに変わってしまう

手遅れになってしまう
3.回転
あってはならないこんな不条理は
回っていたのはあたしの方だった
身を投げ出すようなうたを歌うように

シナリオ通りでいいよ
選び続けることを取り溢せば
憧れや後悔はどこより遠い場所にあった
それでもいいよ

与えられるだけ与えられたまんま
くらい話を肴にして
時間がそれをたいらげるのを待つ

でもこの闇を抜けたその先から
放物線を描いた
アイ・ラブ・ユー

シナリオ通りでいいよ
選び続けることは不自由さだと疑えば
しあわせはどこより遠い場所になった
それでもいいよ
4.在処
動き出した時間を止める術がない
目配せしたみたいに
みんな型にハマっていった

遠い遠い昔から
こうなることが分かってたみたいに
          
掛け違えたまま
ここまで来たんだろ
でもどうしてなんだろう

繋ぎ止めても間に合わない
言葉は何処へと向かうの?
          
優しさの意味掘り当てたら
その時僕らの現在地は 何処なんだろう

動き出した時間を止める必要のないくらい
深い海の底で息をしてるみたいに
 
未来 以外 見つめられなくてもいいのか
瞳は問いかけていた

繋ぎ止めたら間に合うのかを
言葉で試してみたいよ
優しさの意味の在処がどうであっても
構わないのさ

5.(eyes on you)

6.瞳
今、その瞳はなにを映すの?
応えなくて構わないけれど。
睫毛の先をひかりが撫でて、
世界はふたりのものだった。

まなざしは遠い未来から、
わたしを見つけ出す。

今わたしの目を覗いて、
なんにも分からなくなっていいよ。
全部が魔法みたいに解けてしまうものなら、
だらしない姿勢も少しは愛せるかな。
ねえ、僕らどこまで行くんだろう。

蟀谷に撃ちつけた
「幸せとはなにか」
まばたきの隙間から
溢れてしまうもの?

今わたしの目を覗いて、      
なんにも分からなくたっていいよ。

全部が淡い期待に溶けてしまうものでも、
せわしないあなたを少しは愛せるかな。
ねえ、僕らどこまで行くんだろう。
7.天国
あなたが居ない時間の全て
どこか土の匂いがして
それが春だと言われても
時計は止まったまま

神様がもしもいたら
明日がどんな天気とか
毒にも薬にもならないようなことばかりを

くだらないジョークの弾みで
世界の解像度が下がってく
後ろ指をさされてみたい
それが間違いでも

天国がもしもあれば
あれから先のこととか
誰にも分かりきっていることだけ
訊くんだよ

簡単すぎて難解だ
わざわざ言われなくたって
肝心なことは絶対に教えないでいてね

あなたが居ない時間のすべて
どこか土の匂いがした

8.優しい幽霊
ねえ あの日話した夢はもう
叶わなかったどころかさ
今じゃもう
アンテナも張れず萎れていったんだ

ねえ 好きな服や食べ物も
変わってしまうことさえも
知らなかった 幼かった
日のままの熱が欲しいよ

いつかは君が生まれ変わる
金木犀に想いを馳せる頃

ねえ 認めて 僕を許して
同じ輪の中には入れないけど
僕も同じ気持ちだよ

ねえ 何気ない会話の中に
いくつもスパイスがあって
いついつも 味わって
食べれない僕の悪い癖

二度と戻れない道を行く
間違いだらけで構わないから

ねえ 認めて 僕を許して
同じ輪の中には入れないまま
優しい幽霊の気分さ

未だに話したい ことも分からない
散らかり放題の頭に
他の誰かと同じような 
バランスがあればよかったな

ねえ あの日話した夢はもう叶わなかった 

9.塔
塔を建てた
まるでそれは 晴れ間のような
塔を建てた
不思議と嫌な気分じゃない

離れても僕がどこに行けばいいのか
忘れぬように
一際まぶしい ひとつの塔に変わったんだ

かつてない大雨が
比類のない夏の乱反射が押し上げて
今はまだ燃ゆるような 由来のない煙になって

それが君を象る
優しくそびえる一つの塔に変わったんだ

RECOMMEND

おいらたち、本当に趣味が合うね。こんなの大好物に決まってる〜かっこよすぎ 質の高さにびっくりした。
このアルバムが20年代の邦楽ロックの金字塔になる世界で生きたい 傑作おめでとうありがとう!

なんとなく音の中に風が吹いているような心地がした。したがって、部屋で聴いていたのなら思わず窓を開けたくなるだろうし、外をぶらつきながら聴くのも良さそうだ。

どうしたって不条理なこの世で、つかの間の小休止をしたくなったら、その時にかける音楽はcolormalのdiodeかも。吹き抜ける風がきっと些末な意識をさらってくれる。

リリースおめでとうございます。
イヤホンから流れてきたM7『天国』の一節と、その瞬間目に映った街の景色がリンクして鳥肌が立った。
これから出会って、いつまでも思い出せる出来事は『diode』と共にアーカイブされていくんだと思う。

colormalのみんなリリースおめでとうございます!
大学生のときの自分がこのアルバムを聴いていたらサークルで絶対にcolormalのコピーをやってたなって思いました。コピーをやるバンドって特別なのでそのくらい大好きです!
いつか「Chapter 3」もやりましょう!

「オルタナティブ・ロック」なるものが当たり前のものに成り下がり、その文字通りの意味が形骸化してしまったバンド・シーンにおいては、一周してJ-POPこそが「オルタナティブ」であるように思える。それも自身の半径5メートルくらいの世界のみを素朴に、あるいは自堕落に肯定するような安易さに満ちた昨今のJ-POPではない。そうしたパーソナルなフィルタを通しつつも詩情をもってより細やかな感情の機微、あるいはより大きな感情の定義そのものと向き合い、そこから生まれた言葉を職人的な丁寧さで構築されたアンサンブルと完璧にシンクロナイズさせるような、本来的なJ-POPでなければ「オルタナティブ」たりえない。
 このディスクで鳴らされる繊細なアルペジオやざっくり歪んだストローク、混沌としたディスコードの轟音、そして歌われる言葉のひとつひとつに、そんなパーソナルさと茫漠たるテーマ性を両立させんとする確固たる意志が宿っています。「回転」のスティール・パンのようなともすればギミッキーに感じられそうな音色の選択すら、その美意識の元では自然に感じられます。
 J-POPの真髄を理解し体現している家永亮という個人、そしてcolormalという集団と道を交えることができているいまが、僕はとても嬉しいです。

複雑に絡むアルペジオに、ファズを踏んだ潔いギターソロ。思わずにやけてしまう。僕の個人的な癖に刺さりすぎている。
歌のメロディーとコードワークも本当に天才的。言いたい事は沢山あるが、とにかく曲が良い。
ロックでオルタナティブでポップ、時代に左右されない彼らの音楽。結局こういうバンドが最強なんじゃないかと思います。

お世辞なく最高です。作曲とアレンジの発想はcolormalしかない味がして、メロディーラインと音作りも最高に心に沁みます。夢を見させてくれてありがとうございます。

絶対的にどこかいびつなのに、こんなにも親しみやすい音楽はじつは稀有なのでしょうか。そのまま、colormalのみなさんの人間性が反映された結果なのかもしれません。
常識や道理、摂理を受け入れつつも、違和感を拭いきれないから、ときどき恣意的に願う。けれどそれは大抵叶わずに終わってしまうから、あらゆるものを擲ってしまいたくなる。それらのやわい葛藤を、ギリギリのところで脱輪せずに伝える言葉選びとアレンジ。その仄暗い抵抗が生んだ温もりこそが、たくさんの人を惹きつけるのではないか、と思いました。
リリース、おめでとうございます!またどこかで!

あのメルクマールを君が打ち立てた頃、ひとりでいること、ひとりでやることをアイデンティティとする時代なんてものはとっくに終わっていたのか。そもそもそんな時代が来たことすら多分なかったのだと、折に触れて振り返る。ひとりでやって楽しいことはみんなでやったらもっと楽しいと、それを無意識下にでも学んだのがあの暑くて寒い視聴覚室の日々だったはずで、気付かぬうちにしれっと目を背けていた当時の僕らはきっと未熟だったのだろう。しかし、演奏活動の中でその事実と改めて向き合って、集団化する決断を下した君達に対して、人としての正しさと眩しさを憶えずにいられない。苦心しながらも楽しそうな姿が羨ましくて、憧れて後に続く人も増えている、それは誰にでもできることでは絶対ない。稀有で素敵なことだと思います。本当におめでとう。

世の中には、子供じみて見えて実は大人に響く(とされている)ものや、歳をとってから意味がわかる(とされている)もの、ディテールに込められた(とされている)暗喩を見出すような、メタファー基準の評価軸がある。それこそ自分も若ければ、そういう仕掛けに目配せをしたものだけど、本当に尊ぶべきは、受け取る側がいくつになっても何かを発見した気になれるくらい、生涯触れていられるだけの――もしくは風化しようとそこに佇んで、いつかまたあなたが、もしくは偶然通りかかる別の誰かを、つかまえるべくじっと待っていられるだけの――構造の強度、そして信念で、それらの複合体が普遍性、すなわちポップであることの正体なのかもしれないと、このアルバムを聴いてそんなことを感じた。

生き抜いた先、10年後もみんなで聴けるようなものに作品が育っていくこと、心から願っています。借り物の意匠はもう捨てた。負けるなcolormal、逃げるなcolormal。

ギターがパーンって出て、カラッとしてるけど湿り気もある音像のギターロック、高校生のときからずっとしたいと思ってたけど最近はギターすら弾いていないんだよな。…でもcolormalがいるから俺は安心してパッションピットを目指せるよ!

colormalのみなさん
リリースおめでとうございます!
わたしは映画が好きなのですが、
colormalの音楽は映画みたいな
こころの動かされ方をするのです。
かなしくて、やさしくて、救いがあって、
素晴らしい気持ちにさせてくれるアルバム。
音楽船colormal、終わらない映画…
マジ、音楽を作ってくれててありがとう〜

自分にとってイエナガくんの曲は、「merkmal」を初めて聴いた時から今までずっと、お守りのようなものです。聴くたび頭の中の霧を晴らしてくれるような…。今作がリリースされたことで、またひとつ帰るばしょが増えたような気がしてうれしいです。

初めてライブで「塔」を聴いた時のこと。
抜群の構成力、遊び心とポップネスで組まれた「merkmal」から、明らかなモードの変化を感じたことを覚えています。
ひんやりとした空気感、歌という表現に対しての可能性の模索。特に歌詞の言葉選び、情景描写に関してはその頃から既に極まりを感じていました。

それから3,4年が経ったでしょうか。
うっすらと、でも確かに感じていた気配がこんなにも確かな形で耳元に現れたことに、もちろん驚きもあるけれど、
「当たり前にそういうものだった」ような気すらしてしまう説得力もあって、
でもこれは、colormalの4人がここまで確かに向き合ってきた、努力してきた結果であって、それが「当たり前」でないこと、俺は自分のバンド活動を通して痛いほど分かっています。

こんなに素敵な作品を作ってくれてありがとう!おめでとう。
遠いけど少し近くて、でも確かに同じ時代の空気を吸って過ごしてきた自分が、この作品にコメントを贈れたことを誇りに思います。

ここまで極まり洗練されていく中で、キャッチーさを頑なに捨てなかったcolormalのことを、俺は尊敬しているよ。
これからも”歌”を歌っていってください。できればまた一緒に!

心強い音楽
この作品に堆積している時間や風景に思いを馳せてしまう じっと目を見つめられているような、しなやかで潔く響く声にどきっとした
天国を聴いている間、思い出したことを大事にしようと思う ありがとう

 昨夏colormalのレコーディングスタジオに呼んでもらってソファーで倒れていた僕は少し大変な時期にあって、「優しい幽霊」のダビング・ミックス作業を聴きながら、窓の外で降ったり止んだりする雨を眺めて、ほんの少しずつ癒されていく気がしたのを覚えてる。
 『merkmal』の1曲目になった「夢みる季節」が仕上がったのを居酒屋で聴かせてもらって、そのプログレッシブで、神経質とも言えるアレンジと小粋な引用に溢れ、尚且つ良いメロディーを兼ねた、どこかフラクタルな印象も感じる内容に絶句して上手く感想が言えなかったのも大体5年前になる。
 その頃僕はバンドを始めて、イエナガはバンドが出来なかったから1人で歩き始めた時期だった。特に美意識や価値観が合うわけでもない僕らは、何故か根本ではあんまり食い違わないおかげで2人で遊んだり飲む事が増え、その度に大体何かの悪口と下世話な話で盛り上がって、お互いに何だかちょっと救われない魂を慰め合う様な、無駄で、ある意味豊かな時間を過ごした。
 それから時は過ぎて僕はと言えばバンドを辞めて、colormalは正規メンバーを受け入れてバンドになった。『diode』の楽曲が以前よりも日々の営みや、どこか遠くの景色の匂いを強く感じるのはマツヤマくん、やささくくん、たいなかくんが本当に大きな役割を果たしているように思う。1人の青年の頭の中で台風の様に荒れて乱反射していた想像力が、他の身体の力を借りて地に足をつけ、未だ見ぬ誰かに会いに行く為に歩き始めた様で、僕にはそれがとても眩しく見える。
 時を冒頭に戻して、「優しい幽霊」の作業を聴きながら、もし自分ならこういう音が欲しいかなあと思ってボケっとしてたら、まさしくそういう音を入れたいんだけどとイエナガに言われて面食らった。その後他のメンバーをほっぽって(ごめんね)、2人で作業してイントロのサウンドがまあ小1〜2時間で出来上がった。俺たちの無駄な時間もそう無駄じゃなかったなあ、なあイエナガ?
 改めてリリースおめでとう。良い旅を。

INTERVIEW

PROFILE

colormal

大阪を中心に活動する4人組バンド。2015年4月にイエナガ(Gt. Vo.)の宅録ソロユニットとして活動を開始。
2018年にリリースされた1stミニアルバム『merkmal』は自主制作ながらヒトリエ/cakeboxのシノダがコメントを寄せるなど多くの話題を呼んだ。
2021年よりやささく。(Gt.)、マツヤマ(Ba.)、田井中(Dr.)を迎えたバンド体制となる。これまでにバンドとして2作のEPを発表し、2022年4月には渋谷TOKIO TOKYOにてキャリア初のワンマン公演を開催。盛況に終わる。
Gt. Vo.のイエナガは声優・上田麗奈の音源に参加・ベルマインツの楽曲をプロデュースするなどギタリスト・編曲家としても活動の幅を広げている。
2023年5月24日に3作目のEP『cathode』を、5月27日には2ndミニアルバム『diode』をリリース予定。